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トルコ東部

トルコ東部、クルディスタンに入った。
独自の国家を持たない世界最大の民族と言われるクルド人が住むエリア。

今までのトルコと同様に、親切な人がとても多い。
が、面倒な奴もちらほらと出てきた。

石を投げてきたり、マニー!マニー!とたかってきたり。


あるとき、みすぼらしい格好をした羊飼いたちが道路に上がってきて行く手をさえぎり、水くれ金くれ食い物くれだのと言い始めた。

その態度が気に食わないし、そもそも人にあげられるほど持ってないので無視して走り去ろうと思ったら、その頃一緒に走っていた52歳のベルギー人ロバートが、バッグからスニッカーズやらエキメッキ(トルコのパン)やらを出し始めた。羊飼いたちは一斉にロバートの周りに群がり、ロバートの手からそれらを奪い取り、礼も言わずにボリボリとむさぼった。ゴミをその場に散らかしながら。

一通り食い終わると、今度は僕の方に来た。
「あいつがくれたんだから、お前もなんかよこせ」
と。ふざけんなと思った。
でもしつこいのでずいぶん前に買って余ってた6Pチーズをあげた。


ショックだった。
トルコ東部に来て急に貧しくなった。人々の格好も家の作りも貧相だし、道路状況も悪い。羊飼いたちの目は必死で、恐怖さえ感じたほどである。トルコは西と東とではかなり差があるとは聞いていたが、これほどまでとは思わなかった。

だが、それよりもショックだったのは、自分の心の狭さだ。ロバートが気前良く食料をあげたのに、僕は「ふざけんな」である。今まで地元の人にメシをご馳走になったり家に泊めてもらったりと、数え切れないほどの親切を受けたのに、立場が逆になった途端、「ふざけんな」である。自分の懐の狭さが嫌になった。

とは言っても、あの時のロバートの行動が正しかったとは思わない。金や食料を与えることによって彼らは一時的に豊かになれるが、それだけである。結局何も進展しない。むしろ、外人にたかれば金をくれるなどと勘違いして、それが癖になってしまう。「モノ」じゃなくて「方法」を援助するやり方じゃないと彼らのためにはならない。
旅人は残念ながら青年海外協力隊じゃない。見るだけ見て、親切を受けるだけ受け、観光や買い物などで間接的にその国に金を落としていくだけの存在である。
結局は知ることしか出来ないのが旅人。


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トルコ東部の中心都市エルズルム。
はい、いちいちこっち見ない。


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田舎の村。モスクのミナレット(尖塔)が一番立派。


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いらっしゃーーーい。


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羊たち。


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2300mの峠への登り。
前を行くのはロバート。


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峠の下り。トルコとイランを結ぶ大動脈なのに未舗装。


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爽快ダウンヒル。


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クルド人の子供。
シャイ。


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アララト山が見えるはずなのだが、雲がかかっててほとんど見えず。


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イランまで35km。トルコ最後の町ドウバヤジット。


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エキメッキ屋。1本30円くらい。


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イサク・パシャ宮殿。


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白馬に乗ったおじ様。

by hide_o_81 | 2008-01-02 19:25 | 振り返る ~アジア編~  

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